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2013年3月11日 (月)

震災から2年

まだ2年なのかということにむしろ茫然としている。

この2年でこの国は「救国内閣」に政権交代し、ものすごい勢いで右傾化している。その「救国内閣」の幹事長は、昨日こんなお粗末なことを言い出している。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130310/k10013095331000.html

「国民の生命・財産が危機にさらされた時や国家が存亡の危機にさらされたときに、国民の生命・財産を守り、平穏に回復させるため、国民の権利を一時的に制限するのは、どの国でも当たり前のことだ」

この男は、権利の意味をまったく理解していないのだ。災害時、戦時に権利・財産を守るための義務が課されるというのならまだ分かる。賛成はしないまでも。どこの国に権利を制限する憲法があるのか示してもらいたいものだ。仮にあったとしても、だからどうだというのだ。我が国の憲法が邪魔で、国が好き勝手にできないから憲法に盛り込んでおきたい。国民が国に協力するのはあたりまえだといいたいだけじゃないか。自民党の最悪な憲法草案やそれを擁護する馬鹿な発言を繰り返していた片山さつきなどの議員連中と本質的には同じ穴のむじななのだ。

この2年のうちに、状況はここまで悪化してきている。右傾化がすべて悪とはいわない。左翼がいいとも限らない。だれであれ、イデオロギーやマニフェストだけでゆるされる政治なんてものはないからだ。だから、国民の判断が都度微妙にゆれながら進む事もいたしかたないことだ。しかし、この発言が公然となされていることに腹が立たなかったとしたら、むしろ保守政治家たちは失格なのではないか?しかも、これは大震災の場合の話しとして述べられているのだ。自民党がこの議員を放置するなら、そこまでだと思う(放置するだろうけど)。これが国家主義の内閣でなくて何なのだ。自由とも民主とも何も関係がない政党であることを、元々明らかだったけど、改めて自ら公言しているのと同じだからだ。原発廃止もTPP不参加も選挙用の宣伝文句として許容され、選挙後にあっさり否定され、それを掲げて当選した議員からも文句が出ているのはこの政党の現在の状態をよく表している。

一方、被災地はどうなのだろう。この二年で風景がどのように変化したか、いくつか写真をみた。被災地への支援も人・物・金のいずれも弱くなりつつある報道も目にする。関心もまた。

自分はといえば、出かけて行く事が不可能な中で何をしたらいいかを考えて個人的にやれることをやってきた。それはものすごくささやかな貢献しかしていないのだが、それでもだんだん熱心さが薄れてきていると感じている。それには、いくつか理由があると思う。

ひとつは、もはや緊急対処の時期を過ぎて、日常として事故を捉える必要が出てきていること。つまり、緊急に対処できるところは、妥当なものもそうでないものもあるにせよ、対処してきていると考えられること。意見はいろいろあるにせよ、それなりにそんなにひどくない水準で対応がとられている分野もすくなくないという印象はもっている。今残された問題は、もともと時間がかかる問題か、より根本にある問題の解決が必要な問題のどちらかだと思う。

ふたつめは、国のやり口がほぼ見えてきていて、個々の調整事項に類することはともかくとして、より深い問題の根については、当面解決の見込みも兆しも無く長期に追求するほかないことがはっきりしていること。いつものことだが、主要な争点については、国の立場で国の論理で概ね押し切られているのだ。この種の問題については、水俣病のように国家の隠蔽が関与しているものがある。緊急対処でそれなりにうまく行っているのと比べて、国の立場を打ち出して押さえ込みにかかっている問題ほどろくでもない結果になっている。

みっつめは、自分の仕事や生活の拠点である東京は大きな問題がないことから(東京の放射能汚染の問題は時々言われるほど深刻とは僕は思ってない[局所的には無論問題な箇所もあると思うが])、すでに人々の傷が癒え始めていることだ。オリンピックの招致活動を熱心に進めているのはその現れで、むしろお祭り騒ぎで沈鬱さや停滞感を吹き払いたいくらいな気分が生じ始めている。忘れようとしているわけではないにせよ、今、その話題を出すのか?というムードが蔓延するようになった。このムードと戦うためには、ふたつめで述べた長期の見通しが不可欠だ。個別の課題を消化しながら個別の課題を通して、根本から状況を変える努力を続ける以外に僕にはうまい方法がみつからない。

つまり、切実な問題としてとらえるには問題が拡散しすぎ、残された問題は国ごと変える覚悟で望まなきゃならない厚みで横たわっているということだ。僕は、名もなき一技術者でしかないし、それでたくさんだと思っているけれど、この問題と対処する実際の現場が、自分の職業の現場、自分のWebやSNSの現場であるのを割と真剣に信じている。要するに、自分が他者とかかわり、社会と関わるすべての場面が自分にとっての現場であって、そこでの貢献以外に自分に何かができるとはあまり思っていない。

そのようなわけで、ここからはフェーズ2だ。

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